地震に対するご家庭での備え
地震が起こったとき、どれだけ冷静な判断で行動できるかどうかは事前に地震対策をしているかどうかで変わります。 災害はいつ起こるかわかりません。特に地震は発生から被災までの時間が短く、その予想も難しいです。 地震の規模は大小様々ですが、規模が大きいものは甚大な被害をもたらすものもあります。2011年に起こった東日本大震災では地震発生後に起こった津波や火災も含め、過去に例を見ないほどの被害をもたらしました。 他にも1995年には阪神・淡路大震災、2016年には2度も規模の大きい地震が襲った熊本地震、2018年には北海道胆振東部地震など、被害が大きな地震が起こっています。2024年には石川県で能登半島地震が起きました。さらに今後、南海トラフ巨大地震とその想定被害も予測されており、こちらもいつ起こってもおかしくない状況と言われています。 このようにいつ起こるかわからない地震に対して、ご家庭ですぐにできることはいろいろありますが、大きく分けると5つになります。 「家具の固定」、「飲料・食料の備蓄」、「非常用持ち出しバッグ(防災バッグ)の準備」、「避難場所・避難経路の確認」、「家族での防災会議」です。 それぞれどのような地震対策になるのか、紹介します。 家具の固定 地震が起こったとき、真っ先に身に危険を及ぼすのは自宅の中においてある家具類です。 阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などの大きな地震では、地震による揺れで家具が倒れ、下敷きになって亡くなった人や大怪我をした人がたくさんいます。 特に大きな地震が起こったときは、家具は倒れるものであると考え、転倒防止対策を講じておくことをおすすめします。 まず転倒すると考えられる家具を確認しましょう。その後壁に固定できるものは金具などを用いて家具を固定します。 寝室や子ども部屋には、できるだけ家具を置かないようにしてください。家具を置く場合も、背の低い家具を置き、倒れたときに出入り口を塞がないように配置しましょう。 また家具を固定すると同時に、手が届く場所に懐中電灯やスリッパ、ホイッスルなどを備えておくこともおすすめします。 飲料・食料の備蓄 大地震が起こったときは、電気やガス、水道などのライフラインが止まることがほとんどです。それに備え、飲料水や保存食などを備蓄しておくことが必要とされます。 基本的に飲料水は1人1日3リットルを目安に3日分を用意しましょう。また非常食は3日分の食料としてアルファ米などのご飯、ビスケット、板チョコ、乾パンなど保存が利いてエネルギーになりやすいものが必要となります。 またトイレットペーパーやティッシュペーパー、マッチ、ろうそく、カセットコンロなども準備しておくこともおすすめします。 3日というのはあくまで地震発生後から救援物資が届くまでの想定で設定されていますが、できれば1週間分が望ましいです。大震災発生時には土砂崩れなどで分断されてしまい、支援がなかなか届かない可能性があるためです。 さらに飲料水とは別に、トイレを流すための生活用水なども必要なので、日頃から水道水を入れたポリタンクの用意やお風呂の水を張っておくなどの備えもしておくといいです。 非常用持ち出しバッグ(防災バッグ)の準備 地震が起こったときには揺れが収まった後、安全な避難場所に移動し、避難生活を送ります。このとき、すぐに持ち出せるように先述の飲料や食料を含め、非常用持ち出しバッグ(防災バッグ)を準備し、詰めておく必要があります。 このバッグには避難生活に必要なものを入れておくことが望ましいですが、その中でも入れておくといいものをリストアップしたものが以下になります。 • 飲料、食料 • 預金通帳、印鑑、現金、健康保険証などの貴重品 • ばんそうこう、包帯、消毒液、常備薬などの救急用品 • ヘルメット、防災ずきん、マスク、軍手 • 懐中電灯、携帯ラジオ、予備電池、携帯電話の充電器(モバイルバッテリーなど) • 衣類、下着、毛布、タオル • 洗面用具、使い捨てカイロ、ウェットティッシュ、携帯トイレ • ミルク、紙おむつ、哺乳びん ※乳児がいる場合 あくまでこれは例であり、これ以外にも必要なものだと思うものは詰めておくといいでしょう。 ただしあまりに量が多すぎると持ち運ぶだけで避難の妨げになる可能性があるので、持ち出せる範囲に留めましょう。 避難場所・避難経路の確認 実際に地震が起こったとき、避難場所や避難経路を知らないと慌ててしまい、避難場所へたどり着けないことや二次災害に遭遇してしまう可能性もあります。 平時ならそのようなこともありませんが、災害が起こると避難場所までの状況が変わってしまい、すんなりたどり着けないことがあるためです。 慌てずに避難するためにも自治体のホームページや国土交通省ハザードマップポータルサイトなどから防災マップやハザードマップを入手しましょう。災害時に危険になり得る場所や避難場所・経路を確認することができます。 ただし防災マップやハザードマップは地震以外にも豪雨や津波、火山噴火など災害によって種類が変わるため注意してください。 家族での防災会議 家族での防災会議は、すぐできる地震対策です。 地震が起こるときは別々の場所にいる可能性もあります。そうなったとき安否の確認方法や集合場所などを予め話し合っておきましょう。 災害時は携帯電話の回線が繋がりにくくなるため、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板の使用の確認も一緒にしておくと良いです。 情報収集の仕方もできれば確認しておきましょう。最近は災害時にSNSなどのデマが問題になっています。 そういう情報に踊らされることなく、できるだけ正確な情報を得られる方法を家族で共有しておくことも必要です。 すぐにはできないものの、これまで紹介したもの以外で地震対策としてできることはあります。 それは応急手当の方法と地震保険の加入です。 災害が起こると怪我をすることがあります。そうなったとき、医療機関にすぐにかかれないばかりか、救援が来るかも分かりません。 そのとき応急処置でも手当ができるだけで生存率は変わります。出血が酷い場合や骨折の疑いがある場合、火傷をした場合の処置は私たちでもできる可能性があります。 例えば出血が酷いならば傷口を圧迫し、止血体を巻くという方法が取れます。ポイントなどはありますが、処置としてはそれほど難しくはありません。失血死は地震でも起こることなので、血を止めることは大切です。 また心配蘇生法なども覚えておくと人命救助に役立てることができます。地震のときはお互いに助け合うことが大切なため、自分にできる応急手当を身につけておきましょう。 地震保険の加入も地震対策としては重要です。地震は起こってそれで終わりではありません。その後の復興の方が何倍も大変です。 自宅や家財など地震によって大きな被害を受ければ、損害額は大きな負担になります。少しでも負担を減らし、復興に繋げるためにも地震保険の加入はしっかり考えておきましょう。 大地震が起こったとき、自分の身を守れるのでは自分だけです。揺れは人々を動揺させ、自分のことで手一杯になってしまいます。そんな時に事前に対策を行っておくだけで、冷静に行動でき、生存率は大きく変わります。 またその準備をしておくことで、避難生活での自分と家族を守ることにも繋がります。事前の地震対策は大切なものを守るために何よりも大切なことです。 今からできるものをしっかりと把握して、明日地震が起こっても大丈夫なように準備しておきましょう。